地中海のデビル(Diavolo)
鮟鱇(アンコウ)は、「海のフォアグラ」の代名詞もある「あん肝」や「アンコウの7つの道具」という全ての部位が料理される希少な魚であります。日本では、西のふぐ北のアンコウ言われ、刺身、和え物、焼き物、揚げ物、鍋で一種類の魚をまさに「食べ尽くす」お座敷料理としてもてなされる食材です。イタリア沿岸部でも漁獲されたばかりの鮮度のいいものが揚がりますが、各地で具材も定義も呼び名までも異なる海鮮スープ(ズッパ・ディ・ペッシェ)などは漁師の下で作られていた鍋料理で、大きな口で海底に近づく魚介を丸呑みし巨大に育ち、何よりその姿の醜さから「海のデビル」と呼ばれてきました。アンコウの身は背骨を除けば小骨がなく、骨のあったところへ詰め物をしてオーブンでロースとしたり、団子状にして揚げ物、ラヴィオリなどの詰め物など処理のしやすさから幅広く使われます。出汁があっさりとし、プリッと弾力のある身は脂肪分がほとんどないため、あらゆる地方で海鮮スープにも加えられます。蟹やウニなどの高級ネタを食用としている魚なので、あん肝でなくてもその味わいは旨みが濃く、病みつきになるほどです。イタリア語での呼称は、一般的にはRANA PESCATRICEとかCODA DI ROSPO(ヒキガエルの尻尾)と何とも奇妙な呼び名ですが、千葉県辺りでも「アンゴウ」というのはヒキガエルの方言からきているそうで、満更共通したイメージなのかもしれません。普段、食通たちに独占されがちなアンコウもVIGIGLIA DI NATALE(クリスマスイヴ)やCAPODANNO(大晦日~元旦にかけて)に特別な素材として、Aragosta(伊勢海老)と同じくメインディッシュに大活躍の魚です。
では先ずはプリモピアットからです。Paccheriは、麺棒に巻きつけて作られていたのが始まりですから相当な太さのパスタで、お皿の上に落される時、平手打ちビンタ(Schiaffoni)の音に聞こえることからのネーミングです。表面に筋付き、なしのものどちらでも。
パッケリのシチリア風アンコウソース ~Paccheri con rana pescatrice alla siciliana~
材料:目安として4人分
ソース
パスタ
上掛け
アンコウの下処理
作り方:
次はセコンドピアットです。ズッパ・ディ・ペッシェのマルケ風は、伝統的に13種類の魚介類を使います。アンコウをメインにすることで魚介を大量に使わなくても、本格的で骨などのガラが少なくて作りやすく食べやすくなります。
アンコウ(デビル)のマルケ風鍋スープ ~Il brodetto del diavolo ala marchigiana~
材料:目安4人分
作り方:
最後は前菜や副菜になる変わった野菜を紹介します。根セロリ又はセロリック(Sedano rapa)と言って地中海原産の野菜です。セロリの変種ですが、加熱するとカブのような風味もあります。ジュリエンヌ(細い千切り)にしてレモンとEVOで和えることが多いのですが、年初めに種植えされ収穫されるまでほぼ1年の月日をかけて大きく育つこの根菜は、体も温まり滋養もある大人の味です。メルカートや八百屋で見つけたら是非お試しください。
根セロリとヴォローヴァンのせゴルゴンゾーラチーズのクリーム ~Crema di sedano rapa e gorgonzola su vol-au-vent~
材料:目安4人分
作り方:
I PIATTI SONO PRONTI E BUON APPETITO!BUON NATALE E BUON ANNO 2019!
《協力:後藤知美さん》