大麦のトマト・ファルシとポテトのオーヴン焼き
Pomodoro ripieno al'orzo con le patate
イタリア料理の洗練された料理術の根源にあるのは、言わずと知れた農村部の日常食にあります。地中海の陽光を浴びた新鮮な野菜や果実、丁寧に収穫される豆類などを様々な穀類と合わせて、その突極なシンプルさの中にも、不変の調和を持つ料理が各地にあります。中でも、穀類の大祖先の大麦やエンマー小麦、古代黒米などは、普段食に食べられている雑穀類ですが、近年のヘルシー志向から都市部での需要が日本と同様、うなぎ登りの勢いが見られています。今回は、イタリアや日本のみならず先進国で人気急上昇のイタリア産の大麦とスペルト小麦を取り上げます。一つ目は、ここローマ地方で初夏にもなると街角のオステリアなどに並ぶポピュラーなお惣菜メニューで、Pomodoro ripieno al riso con le patate(お米のトマト・ファルシとポテトのオーヴン焼き)をヘルシーにal'orzoにアレンジしたものです。酸味の強い柔らかなトマトの果肉と一緒に頬張ると麦粒のプチプチとした食感と相まって爽やかさと軽やかさが後を引く、この季節ならではの一品です。加熱にお米より吸水時間のかかる大麦は、詰める前に八分炊きまでし、家庭用オーヴンでも火通りをよくするため、じゃが芋を軽く下茹でします。
材料:作りやすい分量、目安2~4人分
下準備
作り方:
さて、二つ目も自然そのものの純粋で簡明な味覚を感じさせる穀物です。スペルト・エンマー・一粒小麦を総称した呼び名のFarroは、古代ローマ軍の遠征中には薄焼きのパン状にして携帯され、栄養補給が容易にできた穀物の英雄の様です。今回は、Insalata di farroをご紹介しますが、寒い季節にはミネストラやクリームスープなどと一緒に煮たりして、古くから一年を通して食べられています。では、くにゅくにゅとした蛸とシャキシャキ生野菜とこの穀物のプチッとした食感を楽しめる初夏らしいサラダ感覚の一品です。
蛸入りファッロのサラダ和え
Insalata di farro con polipo
材料:
作り方:
I piatti sono pronti e buon appetito!!
《協力:後藤知美さん》