ヤリイカの詰め物
Calamari ripieni
地中海沿岸の国に殆ど存在する『イカの詰め物』
袋状の胴体部に野菜や穀物を詰め過熱調理したもの。ぷっくりとした形の白くツヤツヤなイカを切ると中から香りと旨みが染み渡ったフィリングがサプライズに顔をだし、食感のコントラストが楽しめる小粋なメニューではないでしょうか。
一般的にイタリアの魚屋さんで見かけるイカを大きく分類しますと、加熱すると歯ごたえのあるtotani(スルメイカ)、肉質の柔らかいcalamaro(ヤリイカ)、肉厚で甘みの強いseppie(甲イカ)の3種類です。秋~冬の間に成長し、春には産卵のため近海に、夏場は低温地域に分布しているものを漁獲されます。
今回は、そんな小ぶりですがさっぱりと上品な味わいの夏のcalamariを使って、一番ベーシックなパンくずにハーブで香り漬けした詰め物ともう一つはNASAが「21世紀の主要食」と評価してから久しく、既に日本やイタリアでもヘルシー志向の人々の中で定着しつつある雑穀に分類されるQUINOA(伊語表記)を詰めて栄養価満点であっさり夏バージョンの『Calamari
ripieni~ヤリイカの詰め物を』をご紹介します。
パンを詰めたベーシックバージョン:
材料:目安4人分
〔イカのさばき方〕
胴内の腹ワタの付け根をつまんで先端に向かって軟骨と共にワタを取り除き、えんぺらはつけたまま表面の薄皮を剥がしてその下の薄皮も取って、きれいに洗ってキッチンペーパーなどで水分を拭きます。ゲソ部から目を取り除いて腹ワタと足先と硬い部分を切り落とし、軽く塩を手に付け吸盤内の爪のような輪っかと汚れをしごくように擦り落としてから、洗って水分を拭きとります。(魚屋さんに頼むと処理してくれますが、時折鋏で胴体部を切られてしまい、袋状でなくなってしまうことがあるので、「Per
favore,puo' pulirli per farli ripieni?」とお願いしてましょう。)
作り方:
**写真はズッキーニ・ロマーニを②で調理する時に多めに炒めてピューレ状にし、塩とEVOを加えたものをソースのように敷いて、付いていたズッキーニの花を素揚げにしてトマト、オリーヴと一緒に飾っています。
QUINOAを詰めて応用バージョン:
Quinoaはお米のように炊き上げます。(Quinoaは茶漉しくらいの目の細かなザルでよく洗い容量1に対し水2の割合で鍋に入れ、浸水を省いて炊くことができます。蓋をしたまま沸騰するまで強火で、その後ごく細火で約10~15分水分が殆どなくなるまで炊いたら火を止めそのまま5分蒸らします。冷凍保存ができてるので炊きやすい分量で用意すると便利です。
材料:目安4人分
作り方:
『Il piatto sono pronti e buon appetito!』
イタリアンのいかの詰め物は、日本のイカ飯のように古代米の赤米や黒米を詰めてみたり、卵やチーズでフィリングを固めたり、トマトソースで煮たり、オーヴンやグリルで香ばしく焼き上げたりと実に様々ですが、作ってみると意外に簡単な料理です。暑い夏のメインディッシュにまた冷えたワインのお共にいかがですか。
《協力:後藤知美さん》