魚のカルトッチョ ~ 魚の紙包み焼き

Pesce al Cartoccio

青い海の香りが封じ込められ、その包みを開ける瞬間ワクワクとする料理。

イタリアと日本、どちらも海に面した国で新鮮素材が豊富にあったことから、多くの料理はシンプルに味付けされてきたことなどよく似ています。調味材料が異なっても、調理方法に共通点が多々あるのも頷けます。

今回取り上げる調理法もカルトッチョという紙で包んで焼く料理で、さしずめ日本では『奉書焼き』と言われる高級料理の一つ。(お隣の仏料理にもパピヨットという同じように紙包み焼きがあります。)

材料を生または半過熱状態で包み込んで蒸し焼きにされるので、素材に含まれる水分で柔らかくジューシーになり、旨味を逃さず、包みを開けた瞬間白い湯気と共にぱっと馥郁たる香りが広がるので、魚介のパスタなどもカルトッチョ仕立てで演出されたりもします。

そんな新鮮なイタリアの海の幸を包み込んで、シンプル・簡単・でも超美味しくなるこの調理法を使って、メインディッシュ(セコンドピアット)を季節の野菜とフレッシュな香草でアクセントを効かせて作ってみましょう。

 

材料:4人分

  • 鮮魚・・・切り身(120gのもの)4切れ(尾頭付きを使う場合、小さめのものを選びます。)
  • ズッキーニ・・・2本(約360g)
  • トマト・・・小さめ4個(150g)
  • タイム・イタリアンパセリなどの香草・・・4枝ずつ
  • 白ワイン・・・大さじ2  
  • 塩・胡椒・・・適宜
  • エキストラ・ヴァージン・オリーヴオイル・・・大さじ2

下準備:

  • 鮮魚は鱗を取り除いて、盛り付けたときに裏側となる方から包丁を入れて、えらと腸わたを取り流水で血や汚れを洗い、指先を内側まで入れ、丁寧にそして手早く洗う。キッチンペーパーなどで水気をすっかり拭き取っておく。尾頭付き・切り身のどちらを使うにしてろ振り塩をして10分程おくと余分な水分がでてくるので、それもしっかり拭き取ることで臭みが抜けます。尾頭付きのものを使う場合、水分を拭き取った後、腹へパセリなどの香草を詰め込みます。
  • オーブンは180℃に予熱しておく。
  • カルトッチョ用にオーブンシートを魚の大きさより8~10cmほど長く用意する。(より密閉度を強くする場合は、アルミホイルも外側へ同じくらいの寸法で用意しておく。)

作り方:

  1. オーブンシートを敷いて、5mm幅の半月切りにしたズッキーニを並べ、粗みじん切りにしたパセリを半量散らし、下ごしらえした魚に胡椒をして上に置きます。4つ割に切ったトマトと残りのパセリを散らし、白ワインを振りかけます。オリーヴ油を均一にかけたらタイムを枝ごと載せ、オーブンシートを端から1cm幅で内側に丁寧に2重に折り込み、4つ角を小さく三角に折り込みます。⦅特別な日には、折り込み重ね合わせた部分をのりしろとし、卵白を刷毛で塗り、表面にもメッセージ書きをすれば、焼き上げた後メッセージがあぶり出しで表れ、スペクタクル!⦆
  2. 1を熱したオーブンへ入れ、10~15分程焼きます。紙の中心部が蒸気で膨らむようになったら、焼き上がりの目安です。(焼き時間は、魚の身の厚さにもよりますが、尾頭付きのものは、15~20分、一尾が大きいものであれば25~30分くらい要します。)
  3. お皿に紙の包みごと盛り付けて、食卓でバリバリと紙の中心からキッチン鋏などを使って対角線上に切込みを入れます。

         「IL PIATTO E' PRONTO!,BUON APETTITO!」

さて、今回ご紹介したカルトッチョ。日本でもよく食べられるホイル焼きにもよく似ています。同じ鮮魚を使って、付け合わせの野菜と調味料を変えれば立派な和食に応用できる一品です。

一例として、鮮魚のほかに長ネギ(cipolotti)を2cm厚さの斜め切りにしたもの、種を取出したしし唐、3cm厚さの斜め切りにした人参をそれぞれ魚の横に彩りよく並べ、あれば戻したワカメを魚の下に敷き詰め日本酒を軽く振り、先のカルトッチョ同様にオーブンシートで包み閉じ焼き上げます。醤油3:酢2:レモン汁1を合わせて作ったポン酢風たれを添えて和風おもてなし料理として変身。フライパンでも手軽に作ることも可。(焼き方は十分に熱したフライパンに直に並べて、始めの2分間は強火で残りは中弱火にして火を通す。)魚の種類ですが、この地域でよく見かけるのはスズキ(spigola)、黒鯛(orata)、真鯛(pagro)、舌平目(sogliola)、ヒラメ(rombo)などの淡白なものからキングサーモン(salmone)のような脂肪分の多い魚または鯖(sgombro)のような青魚も日本の魚と同種類でなじみ多く、合わせるハーブや季節の野菜、柑橘類次第でこの調理法に適してしまうからバリエーションも広がるはず。イタリアンなカルトッチョと和風の紙包み焼き-何とも甲乙付け難い魅力の調理法です。

                             《協力:後藤 知美さん》